日本歩行訓練士会2022年研修会 「踏切の安全性に関するシンポジウム」 発言メモ 2022年12月3日 社会福祉法人 日本視覚障害者団体連合 三宅 隆 1 4月25日の大和郡山市での踏切事故後の経過 ・4月26日 奈良県視覚障害者福祉協会が現場を視察 ・5月18日 国交省において「道路空間のユニバーサルデザインを考える懇談会」のWGが緊急開催され、ガイドライン改正について検討。 ・6月初旬  同協会が奈良県に対して、踏切道の安全対策について、踏切内と外を区別するための点字ブロック設置、踏切内立ち入り完治システムの整備、声掛けの周知など12項目の要望書を直接提出 ・6月下旬  日視連近畿ブロック協議会が、国交省近畿運輸局、同地方整備局、関西鉄道協会、近畿日本鉄道に要望書を提出。関西鉄道協会からは書面回答のみ。他は意見交換も行った。 ・同じくして、奈良県議会も踏切における安全対策に関する意見書を決議し、国交省に提出。 ・6月9日  国交省より改正された「道路の整備に関するガイドライン」が公表。 2 改正ガイドラインに盛り込まれた内容 ・踏切手前部に視覚障害者誘導用ブロックを設置(積極的に進める整備) ・視覚障害者が踏切の外にいると誤認することを回避するため、踏切内に表面に凹凸の付いた誘導表示等を設置(望ましい整備内容) ・設置例の写真を追加 3 改正ガイドライン公表後  奈良県視覚障害者福祉協会に確認。 1.郡山2号踏切について ・敷設されたエスコートゾーン状のものはすでに剥がれる等、一部破損している ・この踏切は、そもそも歩車道が分離されておらず、しかも幅が4.5メートルと狭いため、踏切内の誘導路を通っていても車が来る度に避けなければいけないため、結局、踏切縁端に白杖を沿わせて歩いている ・事故が起きる10年ほど前に、郡山2号踏切より南に50メートルほど離れたところに歩行者用の迂回用踏切が敷設されたため、この地域に住んでいる視覚障害者はこちらを利用しているとのこと 2.その他の経過 ・6月に要望書を提出した後、7月より近鉄のその他の踏切調査をする予定だった。しかし事情により調査体制が取れなくなり、11月末時点でも調査は行われていない 3 考えられる対策について 1.踏切と一般道路との協会部を示す整備を進める 2.踏切を確実に横断する(誘導路の設置など) 3.線路内に立ち入らないための対策(踏切縁端部への直線的なガイド突起の設置) 4.踏切の存在を知らせる対策(音響式信号機のように、設置あるいは稼働していることを示している音のように) 5.踏切内に立ち入っていることを検知する技術(認知症や他の障害者にも有効) 6.踏切内の素材の検討(触覚的・色) 7.踏切の構造を知る機会を設ける 8.可能であればう回路の検討 9.対策が講じられたことの周知 10.希望があった時に踏切内を安全に横断できる歩行訓練を受けられる体制 11.周囲の人からの声かけ 4 国、道路管理者、鉄道事業者への要望 1.推測ではなく、客観的なデータに基づく事故分析 2.踏切と道路との境界部を示すブロックの設置と、機能の維持 3.踏切内誘導路の設置と機能維持 4.踏切内に入っていることが分かる対策(路面の触覚的・視覚的な違い、感知システム) 5.線路内に立ち入らないための対策 6.改札内踏切への対策 7.う回路の検討(歩車道分離が難しいところなど)