インクルーシブ教育システムにおいては、同じ場で共に学ぶことを追求するとともに、個別の教育的ニーズのある幼児児童生徒に対して、自立と社会参加を見据えて、その時点で教育的ニーズに最も的確に応える指導を提供できる、多様で柔軟な仕組みを整備することが重要です。小・中学校における通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった、連続性のある「多様な学びの場」を用意しておくことが必要でとされています。これは、視覚障害教育においても同様です。

 次に視覚障害教育における学びの場を示します。
⑴ 視覚障害特別支援学校(盲学校)
全国67校(全国盲学校長会加盟校数)あり、多くの学校に幼稚部・小学部・中学部・高等部(本科・専攻科)が設置され、幼児期からの一貫した教育を行っています。幼稚園・小学校・中学校・高等学校に準ずる教育を行いますが、「自立活動」として,障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服するための指導が系統的・継続的に行われます。歩行指導もこの一環です。全国的に在籍者数が減少の一途をたどっており、大きな課題となっています。令和元年度は2,626人であり、中には在籍者数が10人未満の学校もあります。なお、全国で1万人を超えていた時期(昭和34年がピーク)もあります。

⑵ 弱視特別支援学級
小・中学校に設置されている弱視特別支援学級は、「拡大鏡等の使用によっても通常の文字、図形等の視覚による認識が困難な程度のもの」を対象として開設されています。
全国的に学級数、在籍者数ともに増加傾向にあり、平成30年度は、小学校が372学級、在籍者数432人、中学校が136学級、在籍者数160人となっています。

⑶ 通級による指導(弱視)
通級による指導は、通常の学級に在籍し、各教科等の授業を通常の学級で受けつつ障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服するための指導を例えば「目の教室」といった特別の指導の場で受ける教育の形態で、平成5年度から制度化されました。平成30年度4月1日から高等学校においても通級による指導が制度化されています。
通級による指導(弱視)は、「拡大鏡等の使用によっても通常の文字,図形等の視覚による認識が困難な程度の者で、通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とするもの。」を対象として設置されています。通級による指導(弱視)で学ぶ子供の数は増加傾向にあり、平成29年度は小学校176人、中学校21人となっています。

⑷ 通常の学級
上記の他、通常の学級でも見えない・見えにくい子供たちが在籍し、学んでいることに留意が必要です。