盲ろうとは、目(視覚)と耳(聴覚)の両方に障害を併せ有する状態を指すが、その障害の状態や程度は様々である。見え方と聞こえ方の組み合わせによって、「全盲ろう」、「全盲難聴」、「弱視ろう」、「弱視難聴」という4つのタイプに大別される。また、障害の発症時期によって、先天性の盲ろう者、中途で障害を発症した中途盲ろう者など、盲ろう者になるまでの経緯も様々である。

盲ろうの説明図です

2012年度に社会福祉法人全国盲ろう者協会が実施した「盲ろう者に関する実態調査」において、「視覚と聴覚の両方の障害の身体障害者手帳を公布されている者」は、約14,000名であった。また、2017年度に国立特別支援教育総合研究所が実施した実態調査では、全国の特別支援学校に在籍する盲ろう幼児児童生徒数は約300名であった。そして、視覚と聴覚の他にも、知的障害、運動機能障害、内臓疾患など、さまざまな障害を有していた。
盲ろうは、視覚と聴覚からの情報が入らない、もしくは入りにくいため、情報入手、コミュニケーション、移動など、様々な場面で困難が生じる。
盲ろう者が得られる情報は、直接触れるか、保有する視覚と聴覚で把握できる限られた範囲にある不鮮明な情報に限られる。これらの情報は、一度に取り入れられる情報量が極めて少なく、非常に多くの時間と集中力が摂取と処理に必要とされる。
また、コミュニケーションについては、一対一が基本であり、時間もかかるため、コミュニケーションの量が圧倒的に少なく、多くの時間と配慮を必要とする。先天性の盲ろう者が言語を獲得するまでには、多くの時間と学習の段階が必要であり、後天性の盲ろう者は、既に身につけているコミュニケーション手段と障害の状態に応じて、様々なコミュニケーション方法をとっている。以下に、盲ろう者の主なコミュニケーション方法を挙げる。サイン、手話、触手話、指文字、触指文字、点字、指点字、手書き文字、普通文字、拡大文字、話しことば、キュード・スピーチなどである。