視覚障害者の駅ホームからの転落事故をなくすために
視覚障害者の方へのお願い
- 白杖操作について受講した経験がない方は、歩行訓練を受けて下さい。
- 受講経験のある方も、よく使う駅のホームの形状や安全な歩行経路等について、いま一度歩行訓練士と確認してください。
※施設一覧をご覧くだくか、当会までお問合せください。
- 電車のドアに白杖が挟まれたまま発車してしまう事故もあるため、日頃から白杖上部のゴムを手首に通さないで持ち、危険を感じた時は白杖を離しましょう。
- 駅ホーム上では、白杖を浮かさず接地したまま、肩幅より少し広く左右に振って歩いて下さい。
- 乗降時には、必ず白杖で床が有ることを確認してから、足を出してください。
- 普段と異なる状況(体調や環境)が有れば、駅員や乗客に援助を依頼してください。
一般の方へのお願い
- 視覚障害者を見かけられたら、お声かけをお願いいたします。
- 線路に向かって歩いているなど、危険を感じたら、迷わず呼びかけてください。
「盲導犬の人、止まって!」など、「(その人が自分に声がかかっていると分かる一言)+止まって」と声をかけてください。
- 無言でいきなり腕や肩をつかむのはやめてください。相手が驚いてしまい、かえって危険になる場合もあります。
ただし、本当に命の危険が迫っている時は、ためらわずに「止まって、危ない!」など声をかけながら腕をつかんで助けてください。
- 命の危険が迫っていない状況の声かけは、「こんにちは、何かお手伝いしましょうか」を基本にお願いします。
声を出すことで、あなたの存在を伝えてください。
鉄道事業者の方へのお願い
視覚障害者を見かけられたら、お声かけいただき、見守りをお願いいたします。
またホームドアの設置など環境面における駅の安全対策をすすめてください。
視覚障害者の誘導方法や視覚障害者誘導用ブロックについてなど、ぜひ地域の歩行訓練士にご相談ください。
※施設一覧をご覧いただくか、当会までお問合せください。
二度と大切な命が失われないように、日本歩行訓練士会として、歩行訓練や視覚リハビリテーションの普及と向上をはかってまいります。
皆様のご協力をよろしくお願い申し上げます。
視覚障害者の踏切での事故をなくすために
視覚障害者にとって踏切の単独での横断は危険を伴います。
実際、2021年、2022年と続けて視覚障害者が踏切内で列車と接触し亡くなられるという痛ましい事故が発生してしまいました。
国では2022年6月に「道路の移動等円滑化に関するガイドライン」の改定を行い、踏切道での視覚障害者の誘導について、
①踏切手前部に視覚障害者誘導用ブロックを設置(積極的な整備を求める内容)
②視覚障害者が踏切の外にいると誤認することを回避するため、踏切内に表面に凹凸のついた誘導表示等を設置(さらに高い水準として望ましい整備内容)と規定しましたが、特に踏切内の誘導表示については具体的な明示がなく、現在も検討が行われています。
日本歩行訓練士会では国土交通省の専門会議への出席や、当事者団体の皆さまと協力し、踏切周辺の安全な環境整備に向けての取り組みを行ってまいります。
これ以上の踏切事故を防ぐため、今できる対応を皆様にもお願いいたします。
視覚障害者へのお願い
- 基本的に遠回りであっても迂回路があれば踏切の横断は避けるようにしてください。
- 日常生活上、単独での踏切横断が必要な場合には、踏切周辺の環境把握をすることと、横断方法を知るために、歩行訓練士等と訓練や確認作業を行ってください。
- 踏切横断の際、少しでも不安があれば周囲に人に声をかけ援助依頼をし、単独で横断することを避けてください。
- 踏切内で内外がわからなくなった場合には、近いと思う遮断桿にぶつかるまで移動し、遮断桿の真下に棒と平行に向き、頭を隠すような格好で身を守ってください。
一般の方々へのお願い
- 踏切手前で視覚障害者を見かけた際には、一声をかけて、援助の依頼があれば一緒に横断してください。
- 踏切内で視覚障害者が迷っている場合には、声をかけて速やかに踏切外へ誘導をお願いします。
行政・鉄道会社へのお願い
- 視覚障害者が安全に踏切を横断できるための方策を当事者団体や歩行訓練士とともにご検討願います。
- 現状のガイドラインでは踏切内の整備方法が明確ではないため、まずは踏切手前の視覚障害者誘導用ブロックの設置をお願いします。
- 地域の視覚障害者を対象とした踏切の安全な横断に関しての講習会等の機会を作ってください。
2023年4月27日
日本歩行訓練士会